教育費って、住宅や老後と並ぶ「人生の三大支出」のひとつなんですよね。でも、住宅や老後と違って教育費って“いくらでもかけられるし、いくらでも削れる”。だからこそ、家庭の価値観が一番出やすい部分だと思います。
1中学受験をするかどうか。
2高校までは公立で行ってほしいのか。
3塾にはどれくらい通わせるのか。
4習い事は何をさせるのか。
5大学は奨学金でもいいのか。 などなど
こうした選択に正解はありません。ご家庭の問題だと思います。
でも僕が個人的に思う教育費で一番リターンが大きいのは高校受験への投資です。
中学受験って、実は「発達」と「性格」に左右されます。抽象的に考える力が身につくのはだいたい11歳前後で、そこに間に合わない子も多い。それに、性格的に競争心が強くて負けず嫌いな子が有利です。つまり、努力や才能というより“早熟さ”が合否を分ける世界なんです。
もちろん、首都圏で東大・一橋・国立医学部を狙うような子は中学受験をして難関中を目指した方がいいです。内容が濃いうえに科目数も多いので、高1から高校内容を始めるようでは遅い。レベルの高い能力と継続力を両方を持っていない限り、先取り学習を前提にした進学校でないと難しいと思います。
中学受験に上手く行ったのであればそれはいいと思う。しかし、もし受験に合わなかっただけで「自分は勉強できない」と思い込んでしまう子が出るのなら、その代償は大きいと思います。“無駄になってもいい”という余裕をもって出せる家庭ならいいですが、そうしたプレッシャーに保護者自身が耐えられないなら高校受験に切り替えた方がずっと健全です。
高校受験は、発達段階による個人差がほとんどありません。誰でも抽象的に考えられるようになっていて、努力が結果に反映されやすい。だから本当の意味で“努力が報われる”ステージなんです。
しかも中学受験組が抜けている分、上位層に空きがあるのでチャンスも広がります。中学受験をしないという道を戦略的に選んだのであれば、小学生のうちで塾にお金をかけるなら英語と数学の先取りという選択を取ることができます。難関私立高校の多くは「国数英」が受験科目で、その中でも英数が鍵を握ります。英語なら小5あたりからスタートして、中1で英検3級、高校入学までに準2〜2級を目指す。数学は中学受験特有のクイズのような問題ではなく、“中学数学の考え方”を先に身につけておくのがポイントです。中2の終わりまでに中学範囲を終わらせることはそこまで無理はありませんが、難関高校に向けて一年間準備ができるのは大きいです。
塾業界としては中学受験のほうが儲かるので、こういう塾は多くないですが、結構ニーズはあるような気もします。
これまでは大学受験、高校受験、中学受験でどれに注力すべきかという、塾代にフォーカスした議論でしたが、塾以外の習い事も含めた広い定義では、コスパがいいのはズバリ。
「経験への投資」です。
サッカーでもピアノでも、プログラミングでも何でもいい。本人が夢中になって取り組めるなら、それが一番いい学びになります。習い事を通して、自分で考え、工夫して、試してみる。自分で何かを工夫して成果を残せたという経験は勉強に限らず非常に大きな資産になるはずです。
それと、短期のイベントもすごくおすすめです。夏休みを使った海外体験ツアーや、大学主催の科学実験・社会体験など。家族で動物園に行くことだって、とても有意義だ。何となくですが、高校数学を教えてると、吸収力の差出る。これは知的な経験をいかに積んできで教養を培ってきたかということが大きく占めると思っています。
こういう刺激のある体験は、子どもの中に「もっと知りたい」「やってみたい」という火を灯してくれます。その好奇心の種があれば、学力なんて塾に頼らずとも勝手に伸びていくんですよね。
小学生で“好奇心の種”をまき、高校受験で“その種を育て”、大学受験で“花を咲かせる”。
小学生のうちにこの流れが一番自然で、コスパがいい。小学生でしっかりと学ぶ脳と心を作り、高校受験で自分に合った勉強を見つけることができれば、正直大学受験なんて塾なんていらないと思っています。いい高校に入ればそれだけ、手厚いサービスも受けることができますし、予定ですと来年からは私立の授業料に相当する額が所得によらず給付されます。今はスタディサプリのような良質な教材もあるので、環境は十分整っています。
中学受験を否定しているわけではありません。ただ、「みんなやってるから」という理由で流されるのは危険です。子どもの発達段階、性格、家庭の状況をしっかり見て、好奇心の育成に投資する。それが結果的に、教育費としていちばん“費用対効果”の高い使い方だと思います
という中学生の高校受験メインの塾のポジショントークでした。


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