個別指導塾をやっていると、いつも迷う場面があります。生徒が問題を解き進めていく中で、途中の計算を間違えたまま先に進んでいる時です。
その場で止めて修正するべきか。それとも、最後までやらせるべきか。
これは「どちらが正しい」という話ではありません。どちらかといえば数学が少し苦手な生徒には、途中で声をかけて軌道修正することが多いです。正しい方向に導き、最後まで解き切ることで成功体験を積ませることが大切だからです。
一方で、ある程度できる生徒の場合は違います。思考している最中に話しかけられること自体がストレスになる子もいます。実際、私自身もそうでした。最後まで解き切る中で、自分で違和感に気づき、検算し、修正する。その経験こそが次の成長につながります。
本当の理想は、テストのときに私が隣にいなくても、自分一人で間違いに気づき、修正できることです。私は、この「修正する力」こそが学力の根本を支えるものだと思っています。
そしてこれは、教科の勉強に限った話ではありません。
中学生くらいの子どもを見ていると、「このままだとうまくいかないのではないか」と感じる場面があります。学校で生徒を見ていた経験があるので、その気持ちは想像できますが、毎日子どもと向き合っている保護者の方の思いは、それとは比べものにならないものだと思います。だから軽々しく「気持ちはわかります」と言うつもりはありません。
ただ、学校教員として私が常に考えていたことがあります。先回りして正解を与えることが、必ずしも正解とは限らない、ということです。
学校とは学びを与える場であって、失敗をさせない場ではありません。もちろん取り返しのつかない選択には慎重になる必要があります。しかし学校生活の中で、そのような場面は実はそれほど多くありません。
むしろ大切なのは、「失敗しても大丈夫」という環境を用意したうえで、あえて最後までやらせることだと思っています。失敗させるには勇気がいります。
しかし経験上、自分で選び、自分で間違え、自分で立て直す経験を中高生のうちに積んできた子は強い。失敗をネガティブなものとして捉えるのではなく、次にうまくやるための伏線だと考えられる子どもたち。教え子たちも少しずつ社会に出ていく年齢になってきましたが、そういう子ほどしなやかに前に進んでいるように感じます。
これは偶然ではないと思っています。


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