「昨日、夜中の2時まで勉強しました!」
テスト前になると、こういう話を聞くことがあります。本人としては「これだけ頑張った」という達成感もあるでしょう。でも僕は、そんな話を聞くと「いや、寝ようよ」と思ってしまいます。
最近、ショートスリーパーが話題になっています。短時間睡眠でも問題なく生活できるのか、睡眠時間はどこまで短くできるのか。さまざまな議論があります。僕は医師でも睡眠の専門家でもないので、その議論自体に結論を出すつもりはありません。
ただ、塾で中高生を教える立場としては、かなりはっきりと思っていることがあります。睡眠時間を削って勉強時間を増やすのは、勉強のやり方としてあまり上手くない。
前回、「勉強時間を目標にしてはいけない」という話を書きました。勉強で大切なのは、何時間机に向かったかではなく、その時間で何ができるようになったかです。だらだら3時間勉強するくらいなら、集中して1時間勉強した方が遥かにいい。本来3時間かかっていた勉強を1時間で終わらせられるようになることも、一つの学力だと僕は考えています。
そう考えると、睡眠不足は勉強の質を大きく落とす行為です。特に僕が気になるのは、家での勉強よりも学校の授業です。
学校にいると、明らかに眠そうな生徒がいます。本人としては「でも寝てません。頑張って起きています」と思うかもしれません。でも、頑張らないと寝てしまうような状態になっている時点で、すでに勉強の質は大きく落ちています。先生の話を聞く。内容を理解する。以前習った知識と結びつける。問題を考える。学校では、そうしたことを朝から何時間も続けます。
睡眠不足では注意力や学習などのパフォーマンスが低下します。また、睡眠は単なる休息ではなく、学習した記憶を整理・定着させるためにも重要です。僕のイメージでは、睡眠不足の脳はスマホの低電力モードみたいなものです。動かないわけではありません。授業も聞けるし、問題も解ける。でも、本来のパフォーマンスでは動いていない。極端な話、僕はそんな状態で朝から夕方まで眠気と戦い続けるくらいなら、授業中に20分くらいしっかり寝て、その後の授業をちゃんとした頭で受けた方がまだマシだと思っているくらいです。もちろん、授業中に寝ることを勧めているわけではありません。本来は夜に十分寝て、元気な状態で学校に来るのが一番です。
ただ、「授業中に寝なかった」ということ自体には、それほど価値はありません。
大切なのは、その授業でどれだけ理解し、どれだけ吸収できたかです。眠気と必死に戦いながら6時間座っていることを「頑張った」と評価してしまうのも、「今日は6時間勉強した」と時間だけを評価するのと、僕には同じように見えます。勉強の目的は、起きていることではありません。学ぶことです。
「でも、定期テスト前は仕方ないじゃないか」と思う人もいるでしょう。
確かに、明日がテストなのに全然勉強が終わっていない。その日だけ多少無理をすることはあるかもしれません。でも、それを毎回やっているのであれば、僕はこう思います。2時間長く勉強するために睡眠時間を2時間削るくらいなら、5日早くテスト勉強を始めればいい。
5日前から毎日30分ずつ多く勉強すれば、それだけで2時間30分です。睡眠時間を削る必要はありません。むしろ、テストまであと何日あるのか。自分にはどれくらいの勉強量が必要なのか。今の自分は何ができていて、何ができていないのか。何時に寝るためには、今日はどこまで終わらせればいいのか。
そこまで考えて勉強を組み立てることも、立派な学力です。
前回の記事で、僕はこうした力を独学力と呼びました。勉強時間を増やすことだけが努力ではありません。睡眠時間を削らなくても済むように勉強を組み立てることも、勉強の一部なのです。
そして、もう一つ中高生に気をつけてほしいのが、寝る直前のスマホです。せっかく勉強を早く終わらせても、「ちょっとだけYouTubeを見よう」「Instagramだけ確認しよう」とベッドの中でスマホを開く。気がつけば30分、1時間。これでは、何のために勉強を早く終わらせたのか分かりません。
よく「ブルーライトが睡眠に悪い」と言われますが、問題はブルーライトだけではありません。夜間の光は体内時計や眠気に影響しますし、動画やSNSそのものによって頭が覚醒することもあります。そして何より、スマホを見ていた時間だけ単純に就寝時刻が遅くなります。
だから僕は、勉強時間と睡眠時間を別々に考えない方がいいと思っています。目的は、「昨日は6時間勉強した」「テスト前だから3時間しか寝なかった」という努力の記録を作ることではありません。
目的は、学力を伸ばすことです。だったら、起きている時間にできるだけ高いパフォーマンスを出せるように生活を組み立てた方がいい。
よく寝る。学校では集中する。家でも短時間で集中する。終わったら遊ぶ。そして、またちゃんと寝る。僕は高校生に、勉強だけの生活をしてほしいとは思っていません。
部活も、友達も、恋愛も、アルバイトも、趣味もあります。そういう経験も含めて高校生活です。
だからこそ、勉強はできるだけ効率よく終わらせればいい。
眠いのに頑張って勉強することより、眠くならないように生活を組み立てること。
睡眠時間を削って勉強時間を増やすのではなく、十分に寝た上で、起きている時間の質を上げる。
僕は、その方がずっと「勉強が上手い」と思っています。


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