選挙と数学 (けっこうデリケートは内容)

昨日は選挙戦でした。前回の参院選とは時代が変わってきましたね。
snsが一つの地盤になったことやyoutubeなどで各党首が自分達の政策を表に出すことができました。他の政治家とぶつけ合ったり、有識者が具体的なところからツッコんだりされるので、一方的な演説よりも純粋な人柄や知識が表面化されやすく、選びやすくなりました。賛否はあると思いますが、金と地盤がある人が勝つ時代よりは政策単位で民意が反映されるという意味では良い時代なのかなとは思います。自分もそういう動画はよく見ています。

ここから先はデリケートな内容なので具体的な政党や政策については言及するものではありません。一般論としてみてください。


僕が印象的だった体験があります。
たまたま遭遇したある政党の選挙活動でした。
「◯◯はいくらしたって絶対に大丈夫です。破綻するわけがないです。今の政府は馬鹿だからそれがわかっていません」
みたいな感じのことを言ってて、たまたま意見を言える場だったので僕は
「絶対に大丈夫ってどうして言い切れるのですか?」
とその人に聞きました。そしたら何と返ってきたか。
「ではあなたはこのままでいいんですか?日本がこのまま潰れてもいいと思うのならばどうぞご自由に」って言われました。拍手喝采。

うーむって感じがしました。
論点を完全に感情論にすり替えられました。正直なところこれで「さすが◯◯さん、すげえ良いこと言ってる」って本気で思っているのならリテラシーを疑ってしまいます。

与党や野党に限った話ではないのですが、みんな綺麗なことを言うのは当たり前だと思います。だって悪いことを言うよりは、綺麗なことを言う方がウケはいいもの。政治家というものは、綺麗な建前はあると思いますが、何をするにも当選しなければ何もできません。当選が正義なわけです。その戦略を選ぶことに善悪などは存在しないと思います。それが拍手喝采するようならこの問答は彼の勝ちなわけです。

基本的に僕は良いことばかり言う人は信用しません。塾とかやっていると営業も山のようにきますが、「このサービスはあなたに最適だと思います」「どんどん稼げます。かなりお得です。」「他社のサービスはあなたを騙そうとしているだけ」のように感情的に話しかけてくる人ばかりです。もうその時点でお帰り願いますが。
逆に「ここに関しては正直なところ我が社よりも他社の方が優れていまして、ここを目を瞑ることができないのならば、申し訳ないのですがA社のほうがいいと思います」
みたいに弱点を数字を使って説明する人はとても信頼をしてしまいます。


営業マンも政治家も同じだと思います。商品を売ること、当選すること目的を果たすことが彼らの正義。そのスタイルでいる理由は、そのスタイルが戦略的に有効であるからです。

僕が憂いているのはその点です。
「難しいことはよく分からないけど、この人いいこと言ってる」
この感覚が諸悪の根源だと思っていまして、数字を見る力や論理的に考察する力を身につけることで、減らせると思います。

そもそもとして、どの政策を重視するかは立場によって変わってくるものです。僕は教育者という立場と経営者という立場があるので、未来に繋がらない費用はどんどん削り、資産となる子どもたちや技術の進展にもっと投資すべきと言う考えですが、例えば高齢者が「自分の生活が苦しい。子どもが大事というのは分かるけどもっと年金をあげてくれ」という考えは至極真っ当な意見だとは思います。もしかしたら自分も年を重ねれば、同じ主張になる可能性だってあります。それを反映することができるのは民主主義のいいところです。

しかし、甘い言葉に乗せられて大した実行力がない人間が力を握り、「この人言っていることとやっていることが違うじゃん」というギャップが起こってしまうのは、当選する前から具体的に言質を極力さけて、長々と話した挙句なに一つ具体的なことを言わない人が支持されることにある思っています。ネットの討論番組でもそのような話し方をする人ばかりで驚きます。


数学が苦手な人は、「文字で置いてみるとー」って時点でもう嫌になってきますよね。数学のプロからすれば文字で置いて、式を示すことができれば、あとはその文字に何を代入しても成り立つわけですから、最高に嬉しい展開なわけです。これと同じような感覚があると思います。

政治だから社会の分野じゃね?思うかもしれませんが、社会で学ぶことって制度上の表面的な知識だったりするわけです。実際の政策とはほぼ数字の話です。データを的確に読みとり、その数字を調整することにあるわけですから、変数に代入する行為と同じことです。

もっと言えば個人の話をするのならば選挙ならいいのですよ。元々、正解なんてあるわけでもないですし、たかが一票です。どこに入れたかが自分の生活に直結することなんて事実としてほぼ変わりません。ネット投票なんてできればいいなと思いますが、選挙に行くのに30分ほど時間をロスすることを考えると、関心があったとしてもその時間があればなあと自分でも思ってしまいますからね。

ただ営業マンに甘い言葉に乗せられそうになるように、数字を避けようと生きていけば、それをいいように利用して、損してしまう可能性だって出てくるわけです。リボ払いなんてその典型例です。複利の概念を理解していないと騙されてしまうわけです。数字にどうすれば強くなるのかって色々な手段はあると思いますし、必ずしても数学が得意な人=数字に強い人というわけでもないと思いますが、思考することから逃げずに数学をしっかりと勉強すれば強くなると思います。知識なんて簡単に調べることができる時代だからこそ、知識をどう活かすかということが大事になってきます。受験は全科目頑張らなければいけないと思いますが、生活では数学さえできればあとはどうとでもなると思います。仕事の面で見ても数学で論理的思考力が身につけば、プログラミングなんてすぐ習得できてしまいますし、簿記を勉強して税理士なんて道も選ぶことができます。自分の趣味と経営力を掛け合わせて、起業なんて選択肢もあります。

数学ができる人が見る世界とできない人がみる世界では大きく色が変わります。自分もこの世界の社会や科学がこんなにも面白く成り立っていると思い始めたのは、高校生の時です。バイトで使うために数学の定義と定理を教科書を読み込んでいた時期です。数字で考えることができる目を生徒たちにもつけさせたいなと思っています。あとは高校生にも選挙権あげても良い気がします。大人が思っている以上にしっかりと考えていますからね彼らは。

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