高校の授業料は、2026年度から所得に関わらず実質無償化となりました。
もちろん、制服代や教材費、修学旅行費など、授業料以外にもかかるお金は多く、「完全にお金がかからない」というわけではありません。
それでも、公立か私立で迷っていた家庭にとっては、「私立も選択肢に入る」と感じるきっかけにはなったと思います。
実際、自分が大学生の頃に塾講師をしていた頃は、「とりあえず公立志望」という空気がかなり強かった印象があります。
ですが最近では、中学3年生が学校見学へ行ったあと、親子で「この私立に行きたい」と志願変更するケースも増えてきました。
自分自身も教員として私立学校に勤めていた経験がありますが、私立は学校ごとの特色や教育方針がかなり出やすく、魅力があるのもよく分かります。
一方で、「もっと公立教育に予算を使うべきでは」という考えもゼロではありません。
ただ、経済的な理由だけで進路を制限せざるを得ない状況が減ったことについては、良かった部分も大きいと思っています。
公立しか選べないとなると、受験戦略そのものがかなり制限されてしまいますからね。
そして、多くの家庭にとって本当に大きいのは、むしろ大学費用かもしれません。
入学金と授業料を合わせたおおよその金額で見ると、
・国公立大学:約250万円
・私立文系:約400万円
・私立理系:約550万円
ほどかかると言われています。
小中高と比べると、一気に負担感が増します。
「とてもじゃないけど大学に通わせるお金がない」
「奨学金は借金だから厳しい」
と、進学そのものを諦めてしまう家庭も少なくありません。
ですが、一昔前と比べると、大学へ通うための支援制度はかなり増えてきています。
その代表的なものが、2020年から始まった「高等教育修学支援制度」です。
これは、
・給付型奨学金
・授業料等減免制度
を組み合わせた制度になります。
奨学金というと、「借金」のイメージが強いですが、
・給付型(返済不要)
・第一種(無利子貸与)
・第二種(有利子貸与)
の三種類があります。
最近では、「奨学金」という言葉自体は知っている人もかなり増えた印象があります。
一方で、意外と知られていないのが「授業料減免制度」の存在です。
高等教育修学支援制度は、
「奨学金」だけではなく、
・大学に払う授業料
・入学金
そのものを減額・免除する制度でもあります。
さらに、返済不要の給付型奨学金も組み合わさるため、第Ⅰ区分では実質的にかなり負担を抑えて大学へ通えるケースもあります。
最近では、多子世帯への拡充も進みました。
もちろん、「収入基準を見るとかなり厳しそう」と感じる方もいると思います。
ですが、実際には家族構成によってかなり変わります。
例えば、両親共働き世帯でも、世帯年収700万円台で対象になるケースもあります。
夫婦共働き家庭の中央値が700万円前後と言われていることを考えると、案外対象になる家庭は多いのではないかと思っています。
ただ、ここで大きな問題なのが、
「自分で申請しないと基本的に受けられない」
という点です。
担任をしていた頃も、
「うちは対象じゃないと思っていた」
「制度自体を知らなかった」
「調べる余裕がなかった」
という家庭は少なくありませんでした。
本当は支援を受けられるのに、制度が複雑で辿り着けていないケースは、実際かなりあるのではないかと思っています。
また、第Ⅰ区分だけでなく、第Ⅳ区分でも支援額は意外と大きいです。
「非課税世帯じゃないから関係ない」と思い込まず、一度シミュレーターなどで確認してみる価値は十分あると思います。
進学資金シミュレーター
個人的には、もっと制度を分かりやすくしてほしいとも思っています。
本当に困っている家庭ほど、制度を調べる余裕がなかったり、「自分たちは対象ではない」と思い込んでしまっているケースも少なくありません。
理想を言えば、申請しなくても必要な家庭へ自然に支援が届くような仕組みになってほしいとも感じています。
それでも現状では、「制度を知っているかどうか」で進路の選択肢が大きく変わることがあります。だからこそ、大人側が「使える制度を知ること」も、子どもの未来を守る一つの方法なのだと思います。
お金と教育の相談室シード代表 加藤祐太


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