ある種の残酷に見えるデータがあります。

親の年収が高いほど、4年制大学への進学率は上がっていく。
逆に、年収が低い家庭ほど就職割合は高くなる。
恐らく、そこに対して
「子どもには、せめて教育だけにはお金をかけてあげたい」
そう思う親御さんは本当に多いと思います。
だから、
- 自分の服を我慢して
- 趣味を削って
- 外食を減らして
それでも、
「塾代と大学費用だけはなんとかしたい」
「子どもが不利にならないようにしてあげたい」
と考える。
学校教員としても、塾長としても、そういった熱い想いは本当によく伝わってきます。
でも、教育に長いこと携わっていくと、少し違う景色も見えてきます。
僕自身、東京の一等地にある中高一貫校で講師をしていたことがあります。
そこにいた子たちは、
「小さい頃から勉強だけしてきた子」
だったかと言われると、全くそんなことはありませんでした。
むしろ、
- 博物館
- 海外
- 読書
- 習い事
- 家族との会話
- 色々な体験
など、様々なものに触れてきた子が多かった印象があります。
そして何より、
「なんで?」
「面白そう」
「もっと知りたい」
という知的好奇心が強い。
僕は、学力の大きな差になるのは、この“知的好奇心”だと思っています。
もちろん塾としての第一責任は、成績を上げることです。
僕自身も、できるだけ好奇心が育つような授業を意識しています。
ただ現実問題として、塾はどうしても「テストの点数」が中心になります。
だからこそ、小学生時代の体験はとても大切だと思っています。
これは、
「中学受験をしろ」
という意味ではありません。
むしろ逆です。
僕は、中学受験は“趣味の範囲”でやるべきだと思っています。
もちろん合う子もいますし、中高一貫校の良さもあります。
ただ、過剰にお金をかけるより、
- 科学館
- 博物館
- 自然体験
- 習い事
- 海外体験
など、
「世界に興味を持つ経験」
へ時間とお金を使った方が、長い目で見れば価値が大きいことも多い。
「でも結局、お金がかかるから変わらないじゃないか」
と思う人もいるかもしれません。
確かに、大学受験のために塾へ行き、大手予備校へ通うとなれば、目が飛び出るような額がかかります。
ただ、僕は大学受験に関しては、そこまでお金をかける必要はないと思っています。
学校の先生に質問してしまえば無料ですし、それなりの高校には自習室などの学習環境も整っています。
だから塾代を使うとすれば、中学生の高校受験だけでいいのではないか、と。
そこで環境の整った高校へ入り、
- 勉強する空気
- 進路意識の高い友人
- 質問できる先生
- 自習環境
を手に入れてしまえば、大学受験は意外とどうにかなります。
では、大学受験にかかるはずだったお金は、どこへ使えばいいのか。
僕は、子どもの“体験”へ使ってほしいと思っています。
自分は去年までスイミングスクールのコーチをやっていました。
運動自体が脳へ良い影響を与えるという研究もありますが、それ以上に、
「頑張った結果、成果を残せた」
という経験は、とても大きいと思っています。
中には、進級テストに不合格になって泣いてしまう子もいました。
でも、それだけ熱中していた証拠です。
勉強以外で、
努力と成長を実感できる経験は、本当に大切だと思っています。
もちろん、何個も習い事をやる必要はありません。
体験として色々やってみるのは良いと思いますが、
- 水泳+プログラミング
- サッカー+英会話
- ダンス+ピアノ
のように、
運動的なものと文化的なものを一つずつぐらいできれば、十分すぎると思っています。
そして、体験を積めるのは習い事だけではありません。
- 家に本がある
- 一緒に買い物して料理する
- 科学館や博物館へ行ってみる
- 自然ツアーへ参加する
そういうものも、立派な教育です。
例えば、理科の教科書に出てくる三葉虫の化石。
「あ、これ博物館で見たことある」
となる。
社会で坂本龍馬が出てきた時も、
「そういえば家の本で見たな」
となる。
そういう部分が、後から大きな差になる気がしています。
そしてこれは、必ずしも“お金持ちしかできない”わけでもありません。
たとえば相模原市なら、
- JAXA
- 相模原市立博物館
- ふれあい科学館
など、優秀な公共施設がたくさんあります。
もしそこで興味を持ち物足りなくなれば、今度は上野へ行ってみる。
先週、僕も国立科学博物館へ行ってきましたが、あれだけ規模が大きいのに数百円で驚きました。
小学生の子どもは、
「入館料が安いか」
なんて気にしません。
「恐竜って本当にいたんだ」
「宇宙ってすごい」
「深海魚って気持ち悪い」
そういう感動は、意外と長く残ります。
自分自身、小さい頃に親に連れて行ってもらった場所は、今でもよく覚えています。
もちろん毎週同じ場所へ行けば飽きるとは思います。
でも、
- 生き物が好きそう
- 宇宙に興味ありそう
- 工作好きそう
など、
「この子、こういうの好きそうだな」
を探していくことは、とても大きいと思っています。
実際、塾でも、
「今の学力はそこまで高くないけど、この子は伸びそうだな」
と思う子がいます。
そういう子に共通しているのは、やはり好奇心です。
- 「なんで?」
- 「それ面白い」
- 「もっと知りたい」
がある。
逆に、どれだけ高い塾へ通っていても、好奇心が完全に止まってしまっていると、なかなか伸びません。
そしてこれは、大学受験までの話でもありません。
大学を卒業した後も、結局伸び続ける人というのは、
- 色んなことに興味を持てる人
- 学び続けられる人
- 面白がれる人
だと思っています。
商売をやっている身ですが、塾代なんて使う金があったら、小学生のうちは一緒にそういう場所へ行ってほしい。
だから僕は、教育費を全部“受験”へ使うより
「知的好奇心を育てるもの」
にも目を向けてほしいと思っています。
高3生で大手の予備校へ通うと、年間100万円近くかかるところもあります。
1日あたりに換算すれば、3000円弱です。
もちろん、それで人生が変わる子もいます。
ただ一方で、
- JAXA
- 相模原市立博物館
は無料ですし、
ふれあい科学館も子どもの料金は150円。
習い事も、週1回程度の教室であれば月1万円もかかりません。
1日あたりに換算すれば、およそ300円です。
しかも、そこで得られるものは単なる知識だけではありません。
- 好奇心
- 成功体験
- 会話
- 友達
- 自信
- 「もっと知りたい」という感情
そういう、人間の土台になる部分です。
もう少し贅沢を言えば、子どもが単身で行く海外体験などは、国際感覚を身につける上でとても価値があると思っています。もちろん安いものではありません。ただ、中学受験へ何百万円もかけることを考えれば、意外と現実的な金額だったりもします。
そして、必ずしも「海外へ行かないと国際交流ができない」わけでもありません。
例えば相模原には、さがみはら国際交流ラウンジ という施設があります。
外国人との交流イベントや、多文化交流イベントなどを定期的に開催していて、いまも外国人交流員の方と一緒に陣馬山をハイキングする企画を見かけました。

英語を“勉強する”というより、
- 外国人と話してみる
- 異文化に触れる
- 「世界には色んな人がいる」と知る
そういう経験の方が、小学生のうちは大切だったりする気がしています。
しかも、こういうものは意外と安い、あるいは無料だったりします。
知っている家庭だけが使っている、かなり優秀な公共資源だと思います。(追記、ごめんなさいこのイベントは成人対象でした)
もちろん受験勉強も大切です。
でも、高校生のときに毎日3000円を“受験対策”へ使うより、
毎日300円で世界を広げる経験へ投資する方が、
長い目で見ればリターンは大きいのではないか。
僕は、教育に長く関わってきて、そう感じています。ある意味でこれは、優れた“先行投資”なのかもしれません。
お金と教育の相談室シード 代表 加藤祐太


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