昨日、700円のカレーライスを食べました。とてもおいしかった。
「700円払ってよかった。」
そう思って家に帰りました。ところが翌日、お店のアプリを見ると650円クーポンが届いていました。
「昨日じゃなくて今日食べれば50円安かったじゃん。」
私は本当に50円損をしたのでしょうか。少し考えてみてください。
昨日の時点で「700円払っても十分価値がある」と思って食べたのであれば、その瞬間の満足は変わっていません。
変わったのはカレーの価値ではなく、価格です。私たちは普段、「価値」という言葉を二つの意味で使っています。
「この金(ゴールド)は6万円です。」
「この講演は6万円払ってもいいと思えるほど価値がありました。」
どちらも「6万円」という数字が出てきます。
でも、意味はまったく違います。
経済学では前者は価格、後者は効用(少し馴染みのない言葉なので、この記事では「価値」と呼びます。)として区別して考えます。
価格は市場が決めるもの。
価値は自分が決めるもの。
この違いを理解すると、お金の見え方は大きく変わります。
そこで僕は、こんな図で考えています。

価格があるかどうかは、人によって変わりません。カレーが700円であることは、私にとっても、あなたにとっても同じです。
つまり左右には動きません。一方で、価値は人によって変わります。
私にとって700円払う価値があるカレーでも、辛いものが苦手な人には300円程度の価値しかないかもしれません。
逆に、価格はついていなくても、家族との思い出や手作りのプレゼントには何万円払っても手放したくない価値を感じる人もいます。つまり上下には自由に動くのです。

例えば、僕にとってはこんな感じです。
右上(価格も価値もある)
・旅行
・グルメ
お金を使うことはあまりありません。でも、旅行とグルメだけは別です。
明後日からはジビエ料理を食べるためだけに北海道へ行きます。
再来月は中華料理を食べるために台湾へ行く予定です。
「美味しいものを食べるために旅行へ行く。」
少し変わっているかもしれませんが、それが私にとっては大きな価値です。
左上(価格は低い、でも価値は高い)
・本
・仕事
塾を経営しながら、平日の昼間から近所の公園で本を読み、そこで得た知識を授業や講演、ブログで伝える。
その循環がとても楽しい。読む本も教育学だけではありません。
教育学、心理学、社会学、経済学。
一見バラバラに見えますが、どれも教育や塾経営に深く関わっています。
知識と知識がつながり、自分の考えが広がっていく。
その時間は、お金では測れない価値があります。
右下(価格は高い、でも価値は低い)
・ブランド品
・高級時計
時計もバッグも、機能が同じならできるだけ安いものを選びます。もちろん、これは僕の価値観です。
ブランド品に大きな価値を感じる人もいるでしょう。その人にとっては右上になります。
価値は市場ではなく、自分が決めるものだからです。
しかし、ここで一つ危惧していることがあります。
私たちは、価格を価値だと勘違いしてしまうことがあるのです。
もっと言えば、
価値を感じていると思っていたものが、実は情報に影響されていただけということも少なくありません。
漫画『ラーメン発見伝』には、こんな有名なセリフがあります。
「客は情報を食ってる。」
テレビで紹介された。食べログで高評価だった。
ミシュランに載っていた。一杯3000円もする。
そんな情報を先に知ると、人は「美味しいはずだ」と思ってしまいます。
ブランド品も同じです。
「高いから価値がある。」
「人気だから価値がある。」
「みんなが欲しがっているから価値がある。」
そんな情報が、本来の価値判断を少しずつ曇らせていきます。
私は、ブランド品が悪いと言いたいわけではありません。ブランド品に大きな価値を感じる人もいるでしょう。
それなら、その人にとっては十分価値のある買い物です。
問題なのは、
「自分の価値」ではなく、「他人の価値」を買ってしまうこと。
「これを着ていればすごいと思われる。」
「この時計なら成功者に見られる。」
「この車なら羨ましがられる。」
そんな”他人の評価”を、自分の価値と勘違いしてしまうことです。価格は市場が決めます。
でも、価値を決めるのは市場ではありません。
テレビでもありません。
SNSでもありません。
周りの人でもありません。
価値を決めるのは、あなた自身です。
金融教育というと、お金の増やし方を学ぶことだと思われがちです。
でも僕は、その前に学ぶべきことがあると思っています。
「自分は何に価値を感じる人間なのか。」
それを知らないままお金だけを増やしても、幸せになれるとは限りません。
人生で大切なのは、価格の高いものを集めることではありません。
あなたにとって、本当に価値のあるものを見つけ出すこと。
それが、お金と上手に付き合う第一歩だと私は思っています。


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