「数学なんて将来使わない。」
こんな言葉をよく耳にします。実は僕は、この意見は半分正しいと思っています。
二次関数を仕事で使う人は多くありません、知識そのものだけを見れば、「役に立たない」という意見も理解できます。国語でも漢字とかは読めなくちゃならないけどそれ以上は‥って人もいます。それでも僕は、数学と国語が学校で最も大切な教科だと思っています。
理由は簡単です。
数学と国語はOS。その他の教科はアプリだからです。
パソコンを想像してみてください。OSがしっかりしていれば、新しいアプリは後からいくらでもインストールできます。でも、OSが壊れていたら、どんな便利なアプリも動きません。
教科も同じです。英語、理科、社会、情報などは知識やスキルです。もちろんどれも大切です。でも、それらは必要になったときに学ぶことができます。
例えば、日本の学校ではアラビア語を教えません。理由は、日本で使う人が少ないからやりたい人は勝手に勉強すればいい、という理由です。英語も本質的には同じです。違うのは、英語を必要とする人が圧倒的に多いということ。つまり英語も一つのスキルです。使わなければ忘れてしまいますし、使う予定がなければ価値を発揮する場面は多くありません。
一方で数学や国語は違います。数学は論理的に考える力を育てます。
国語は文章を読み、相手に伝える力を育てます。
どんな仕事に就いても、この二つは土台になります。
だから僕は、この二教科をOSだと考えています。
そして同じOSである数学と国語ですが、現代においては僕は数学の方がより重要になっていると思っています。
昔は知識を持っていることに価値がありました。でも今は違います。分からないことは検索すればいい。AIに聞けば数秒で答えが返ってきます。
これから重要なのは、知識を持っていることではなく、知識を読み解くことです。ひと昔前に比べるととんでもない情報
情報を整理し、論理を組み立て、本当に正しいのかを判断する力です。
例えば、
「東大生はメガネをかけている人が多い。だからメガネをかければ東大に入りやすくなる。」
と言われたらどうでしょうか。
ほとんどの人は、
「そんなわけない。」
と思うはずです。
これは相関関係と因果関係を混同しています。
東大生にメガネをかけている人が多いことと、メガネをかけることで東大に合格しやすくなることは全く別の話です。
こんな例なら誰も騙されません。
でも実は、世の中にはもっと巧妙な形で同じことがたくさんあります。
「○○を食べる人は長生き。」
「○○大学出身者は年収が高い。」
「○○をすると成功しやすい。」
こうしたデータを見たとき、本当に原因なのか。それとも単なる相関関係なのか。
ここを考えられる人は意外と多くありません。
アメリカの作家マーク・トウェインの有名な言葉があります。
「数字は嘘をつかない。しかし、嘘つきは数字を使う。」
数字そのものは正しい。
でも、平均だけを見せる、都合のいい期間だけ切り取る、グラフの縦軸を変える、母数を隠す。
それだけで、人はいくらでも騙されます。
だから必要なのは数字を覚えることではありません。
数字を疑う力です。
情報を鵜呑みにせず、「本当にそうなのか」と考えられる力です。僕は数学の価値は、公式を覚えることではなく、この力を育てることにあると思っています。
AI時代だからこそ、知識そのものの価値は少しずつ下がっています。
しかし、考える力の価値は間違いなく上がっています。
だから僕は、
数学と国語はOS。その他の教科はアプリ。
そして今の時代は、そのOSの中でも数学の価値がこれまで以上に高まっていると考えています。
塾長としての感覚で言っても‥
塾で指導していても、数学が伸び始めた生徒は、他の科目の伸びも加速することが少なくありません。最初は数学だけが苦手だった生徒でも、数学で「考え方」を身につけると、理科の文章問題も、社会の資料問題も、英語の長文も以前より理解できるようになっていきます。
もちろん、英単語や歴史の暗記をしなくていいという話ではありません。でも、一度OSが強くなると、新しい知識やスキルを身につけるスピードそのものが上がるのです。だから僕は、数学を教えているというより、「考え方」を教えている感覚に近いのかもしれません。


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